米の先物取引のお勉強

県青協

2011年06月27日 11:36

現在巷を騒がしております米の先物取引について情報提供をば。
試験上場の申請があった場合、公示期限(今回は6月25日)から1ヶ月以内に、
農水省は認可・不認可の判断をしなければなりません。
その場合
①先物市場において十分な取引量が見込まれない
②現物取引に著しい影響を与える恐れがある
ことを証明できなければ認可しなければならないとされております。
①の「十分な取引量」は基準がなく農水省が判断します。

6月24日の農業新聞では農水省が早くも認可の方針を固めたとして報道されております。
これを受けJAグループは猛反対運動をしております。
また、民主党内でも反対の声があり、「十分に議論を尽くすべき」として緊急会合が開かれています。


米の先物が導入された場合に懸念される問題について若干説明します。(長々すみません)
先物取引市場においては、
①投機目的の(差額決済で設ける)投資家が9割以上を占めること
②実際に現物が取引されるのは1%であること
が非常に大きな問題と言われています。

先物市場においては売り渡し期限まで現物は動きません。
「買います」、「売ります」の声はバーチャルな世界のものでしかないのです。

もちろん「米6トン売ります」と宣言した人は売り渡し期限が来れば米代金(収入)をもらって、米(現物)6トンを出荷しないといけません。
しかし、同じ人物が期限直前に「米6トン買います」と宣言すれば相殺され、米6トン分の収入と米6トン分の支出が発生するだけです。
つまり、米を持っていなくても(出荷しなくても)米を売ると宣言できるのです。これを空売りといいます。

①投資家Aが4月に「11月に米6トンを売ります」と宣言します。4月時点の米の取引価格は13,000円/60kgです。

②11月に米価が下落し、11,000円/60kgとなりました。投資家Aは期限日直前に「米6トン買います」と宣言します。

③期限日が到来します。投資家Aは4月時点に約束していた13,000円/60kg×6,000kg=130万円の収入が入り、
期限日直前に約束した11,000円/60kg×6,000kg=110万円を支出します。

④これにより米を1粒も動かすことなく、価格の上下によって20万円の利益を得ることができるのです。


現在世界的に穀物への投機マネー流入が加速し、価格の乱高下が激しさを増しています。
自分が儲けることだけを目的に価格を操作する巨大なパワーを持つ投資家もいるのです。

投資家が9割占める先物取引市場に、日本人の主食であるコメを巻き込んでいいのでしょうか?



by まよ