2011年06月27日

米の先物取引のお勉強

現在巷を騒がしております米の先物取引について情報提供をば。
試験上場の申請があった場合、公示期限(今回は6月25日)から1ヶ月以内に、
農水省は認可・不認可の判断をしなければなりません。
その場合
①先物市場において十分な取引量が見込まれない
②現物取引に著しい影響を与える恐れがある
ことを証明できなければ認可しなければならないとされております。
①の「十分な取引量」は基準がなく農水省が判断します。

6月24日の農業新聞では農水省が早くも認可の方針を固めたとして報道されております。
これを受けJAグループは猛反対運動をしております。
また、民主党内でも反対の声があり、「十分に議論を尽くすべき」として緊急会合が開かれています。


米の先物が導入された場合に懸念される問題について若干説明します。(長々すみません)
先物取引市場においては、
①投機目的の(差額決済で設ける)投資家が9割以上を占めること
②実際に現物が取引されるのは1%であること
が非常に大きな問題と言われています。

先物市場においては売り渡し期限まで現物は動きません。
「買います」、「売ります」の声はバーチャルな世界のものでしかないのです。

もちろん「米6トン売ります」と宣言した人は売り渡し期限が来れば米代金(収入)をもらって、米(現物)6トンを出荷しないといけません。
しかし、同じ人物が期限直前に「米6トン買います」と宣言すれば相殺され、米6トン分の収入と米6トン分の支出が発生するだけです。
つまり、米を持っていなくても(出荷しなくても)米を売ると宣言できるのです。これを空売りといいます。

①投資家Aが4月に「11月に米6トンを売ります」と宣言します。4月時点の米の取引価格は13,000円/60kgです。

②11月に米価が下落し、11,000円/60kgとなりました。投資家Aは期限日直前に「米6トン買います」と宣言します。

③期限日が到来します。投資家Aは4月時点に約束していた13,000円/60kg×6,000kg=130万円の収入が入り、
期限日直前に約束した11,000円/60kg×6,000kg=110万円を支出します。

④これにより米を1粒も動かすことなく、価格の上下によって20万円の利益を得ることができるのです。


現在世界的に穀物への投機マネー流入が加速し、価格の乱高下が激しさを増しています。
自分が儲けることだけを目的に価格を操作する巨大なパワーを持つ投資家もいるのです。

投資家が9割占める先物取引市場に、日本人の主食であるコメを巻き込んでいいのでしょうか?



by まよ


タグ :先物


Posted by 県青協 at 11:36│Comments(5)
この記事へのコメント
…ながっ
ようするに、米の現物じゃなくて米価の操作で金儲けをしようとする輩がいることに懸念を示してる中、農水省は容認しようとしてるわけね

さて、青年部はどう動く?
Posted by 百笑 at 2011年06月27日 16:54
差金決済が認められているので、売建玉(売り契約)は納会まで持っている必要はないのです。いつでも反対売買をして先物契約は解消できます。やってみればわかりますが、投機で儲け続けるのはなかなか難しいですよ。
現物の受け渡しがある商品先物市場では、現物を動かせる当業者が圧倒的に有利です。小豆のホクレンさんの例を研究すればおわかりになります。

JAの皆さんは「先物取引はわからないから反対」と言うばかりではなはだ不勉強で困ります。市場が正常に機能すれば公正な現物価格に対する影響はないです。あると思えるのはいまの現物価格が公正ではないのです(生産者にとっては公正なのかも知れないが、消費者も含めた利害関係者全体では不公正になっているということ)。

ただし市場を正常に機能させるためには、取引所などの市場管理が適切である必要があります。反対するならば、この点を指摘するべきでしょう。
Posted by 砕かれた四月 at 2011年06月27日 19:21
米の公正価格ち・・・幾らなんすかね?

確かに、先物については不勉強ですが・・・・山の米が高く売れる事は、無いのでは?

赤字栽培が続く・・・・山間部の、米作り農家です(泣)
Posted by きのこ村 at 2011年06月27日 22:03
コメの先物市場が開かれれば、ご指摘の通り
投機マネーがコメ市場に流れ込んでくると想定されます。

ただ、流入したマネーによって、
米価は上昇気味に推移すると思うのです。

(これは、昨今の穀物価格の上昇でも
 お分かりいただけることと思います。)

米価低迷にあえぐ稲作農家には
またとないチャンスだと思うのですが、
JAはなぜ反対するのでしょう?
Posted by いなかもん at 2011年06月30日 00:13
問題なのは、米の適正価格(再生産可能で所得も確保できる)がいくらかというのは置いておいて、
実需とは関係ないマネーゲームの結果、
価格が乱高下する可能性があるということです。

適正価格を飛び越えて高騰すれば消費者が困ります。
下落すれば生産者が困ります。

食と農を守るJAグループとしては主食をマネーゲームの対象にすることには、
断固反対の姿勢を貫くべきと考えます。
Posted by 県青協県青協 at 2011年07月01日 08:36
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